アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

「エニグマ変奏曲を聴く」 その13 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮ウイーン・フィル

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  初めて現役の指揮者が登場しました。1998年の録音。天下のウイーンフィルらしく、明るく甘い響き。

 ここのところモダンオケを指揮するようになった古楽演奏の泰斗、ベートーベンなどで厳しい響きを追求していたと思うのだけど、これはじつに幸せな音楽になっている。どこがどう、ということはほとんどなく自然な流れ、標準的な解釈で、ここのところしつこいような演奏を聞き続けた耳にやさしい。

 ただそこは彼も人の子。最終のフィナーレにきてやっと少し茶目っ気をみせる。まずマーチが再現される前、全オケによるfffz(なんて読むの?)で終わった後のゲネラルパウゼがかっこいい。そしてマーチが終わっていったん静まり、バイオリンが刻みで静かにテーマを歌う箇所、フォルテからデクレッシェンドの指定を強烈なアクセントに変更して驚かせる。短調で書かれた主題とここで決別し、長調の大団円に転じるきっかけを示しているようで面白い。
 
 なお、wikiってみたところ、ガーディナー氏は余暇には英国南部の生家で有機農法菜園を営んでいるとか。知らんかった。親しみがわいた。農的な暮らしを楽しむ音楽家って結構いるよね。自然から得るインスピレーションを大切にしているのでしょう。