知人からもらった、おそらくエアチェックされた放送録音をCDRに焼いたもの。「マゼール指揮」しか分かりません。たぶん80-90年代の録音じゃあないかな。そのうまさでバイエルン放送交響楽団と見た。
マゼールらしい、けれん味たっぷりの豪快な演奏。ちょっとついて行けない部分もあるけど、まあ、爆演ということでご紹介。
すっと曲が始まったかと思えばコントラバスのずん!という強烈なアクセントを伴って冒頭のテーマからどんどん粘る。ねちっこいのは嫌いじゃないけど、これはやりすぎ。ちなみに全曲を通してコントラバスがよく鳴る。スペクタクルな印象を受ける一因だろうか。
第1変奏でもねちっこさはそのまま続き、途中止まってしまうのではと思うほどのリタルダンドをかけて綿々と歌う。全曲この調子かと思いきや、第2変奏以降は一転して爽快な演奏に。第7変奏「Troyte」など鋭いアクセントが利いてかっこいい。最後のシンバルの一閃、手で押さえず響かせて終える(専門用語わからん)のはちょっと驚いたけど。
さてお待ちかねのニムロッドは、心配をよそに極度に盛り上げることはせず、中庸だけど雄渾な熱い演奏で、とてもいい。 第13曲「Romanza」。中間部でクラリネットがメンデルスゾーンの序曲の引用を奏でる下でビオラが波の音のようなパッセージを延々やる箇所、コントラバスのソロも含めて細かい表情を付け、ドラマチックな効果を生んでいる。
そして快活なフィナーレはマゼールの独壇場だ。Stringendoの前でテンポを落として再現部(でいいのか?要するに冒頭のマーチ)になだれ込んでいくところなど、まさに千両役者という感じ。胸のすくエンディング、最後の二分音符はけれん味たっぷりにフェルマータさせて大見得を切る。聴衆も大喜び。でもこれロンドンでやっても受け入れられるのだろうか?とふと思った。
言い忘れたが、この曲にはビオラとチェロの独奏がそれぞれ2回ずつあっていずれもピアノなど弱音での指定がされているんだけど、どのソロもコンチェルトのように朗々と強奏されているのも面白かった。