アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

「エニグマ変奏曲を聴く」 その18 ラトル指揮バーミンガム市交響楽団

イメージ 1


 英国出身のサー・サイモンが手兵の英国のオケを振った演奏。現役の指揮者で聴きうる最高のパフォーマンスの一つだと思う。1992年、ラトル37歳の録音。ちなみに彼がナイトに叙されたのはこの録音の少しあとこと。今シリーズで一番若い指揮者の登場です。
 
 若いのに老成しているーといえばいいのか、滋味あふれる、いぶし銀のエルガー。奇をてらうことはほとんどなく、愛しむように曲が進んでいきます。緩と急、動と静のバランスもとてもいい。

 テーマの提示はアゴーギクに変化をつけてよく歌う。第4変奏はテヌートを強調し、ダイナミクスの変化が楽しい。第8変奏ーお隣の女主人ーもとっても上品かつチャーミング。ニムロッドは頂点へ向けた構成感がよい。第11変奏は最後のひと吠えが微笑ましい。
 終曲、例のStringendoをここまできちんとやっている演奏はちょっと記憶がない。いいねー。
 名もない地方オケを世界的な水準にまで引き上げた若かりし彼の記念碑的な演奏といえるのでは。

 デビューした頃の〝バーミンガムの小僧〟も 今や還暦を過ぎ、天下のベルリンフィルと蜜月を築くなど世界で最も忙しい指揮者に。そういえば最近同フィルとこの曲を再録したようで、機会があれば聴いてみたい。誰か持ってたら貸して。