アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

エニグマ変奏曲を聴く ~①モントゥー指揮ロンドン響

ちょっとオタク的なシリーズを始めます。
長い間休んでいたオーケストラ活動を再開した農場主、11月の演奏会でエルガーの「創作主題による変奏曲」、通称「エニグマ変奏曲」を演奏します。
で、ここのところいろんな演奏を聴き比べしているのでメモ的に残そうかな、と思いまして。

トップバッターは今のところ一番お薦めの演奏。モントゥー/LSO。1961年の録音。
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中学の時に買ったレコード。お小遣いが月2000円だったっけ。廉価版しか買えなかったなあ。針音がぶちぶちですが、穏やかな、自然な流れの音楽が生き生きと聞こえてきます。

ブラームスの前でビオラを弾いたり、「春の祭典」のあの初演を担当したり、という音楽史に燦然と輝く経歴。エルガーとは交流はなかったのかな。でも最後の来日公演でこの曲を取り上げているし、十八番にしていたのではないだろうか。

変奏の一つ一つ、丁寧に歌心たっぷりに聴かせる。中間部の美しい「ニムロッド」もその一つ。よくある、この曲だけに多分に感情移入して曲のピークを作ってしまうような演奏とは一線を画して、あくまでも14ある変奏のひとつととらえている。淡々と音楽が流れる中に滋味があふれる。

最後の盛り上げ方は立派のひとこと。エルガーの友人たちを描いているようでいて、そのじつ人生の、また人間の素晴らしさを高らかに歌っているような、スケールの大きい賛歌になっていると思う。

欲をいえばウイットがもうちょっと欲しいかな、とも思うが、ひとつひとつの変奏の個性を浮かび上がらせるよりも、終曲へ向けての構成感を採ったというところだろうか。うまく言えないけど。