アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

「エニグマ変奏曲を聴く」 その19 サー・ネビル・マリナー指揮 モントリオール交響楽団

 英国出身の「サー」による演奏をもう一つ。2000年モントリオールでのライブ。FMからMDにエアチェックしたものです。さすがデュトワに鍛えられたオケ、ライブなのに疵がまったくない。

 テーマを含め、全体にビブラートを抑え、質素な印象。「ニムロッド」の後以外はアタッカで休みなく演奏される。 大づかみだけど暖かみがあって全体のプロポーション(byばよりんKさん)がしっかりしているところは師匠のモントゥー譲りか。 小細工をせず、雄大な流れが聴かれる。強奏でも音を割ることはなく、まさに大人の音楽という感じ。

 ニムロッドの後に長い間を置き、ここが全曲の扇の要であることを示しているかのよう。第10変奏「Dorabella」は速めのテンポできびきびと進む。おっしゃれ~。第11曲「 G.R.S」は激しいティンパニの打ち込みが印象的の若々しい音楽。最後のワンちゃんのひと吠え、タメを作るのが楽しい。
    フィナーレはライブらしく、盛り上がる。マーチのあとのlargamenteで全オケが咆哮するフレーズ、毎回指定通りぐっとテンポを落として強調するのが面白い。最後のクレッシェンドはいっぱいためて長めに大見得を切る。意外に拍手は小さい。熱演なのに、カナダっ子は冷めているなあ。
 つい一ヶ月前に92歳で惜しくも亡くなってしまった、日本でもN響などでおなじみの巨匠。自ら創設したアカデミー室内管弦楽団で長くイギリスの、とくに弦楽合奏の曲の紹介に力をいれてくれました。この曲も70年代にコンセルトヘボウ、90年代にアカデミーでもレコーディングしていてそれぞれ世評は高いようですが、未聴なので。N響でこの曲を聴きたかったなあ。同時代に生きられて幸せでした。ありがとう、マエストロ。合掌。