「エニグマ変奏曲を聴く」 その20 サー・マルコム・サージェント指揮 ナショナル交響楽団
「その他」に押し込めようと思っていたけど、聞き返したらとてもいいので急きょ推薦盤に入れます。サージェントはバルビローリやビーチャム、ボールトと並ぶ英国往年の名指揮者。見た目、一番イギリス紳士っぽい。プロムスの常連でロンドンっ子に大人気だったようです。現在のアンドリュー・ディビスのポジションにあったってとこですかね。
ナチスドイツが降伏して間もない1945年9月の録音。日本は終戦直後の焼け野原の時代、ロンドンの大空襲は日本よりちょっと前だったとはいえ、もうこんなすてきな演奏が聴けたんですね。平和を取り戻した喜びが伝わってくるよう。
また、モノラルとはいえ解像度が高くてとても聞きやすいです。演奏内容といい、録音技術といい、さすが英国、その潜在能力の高さにうならされます。ところでナショナル響ってどこのオケ。BBCかな?
サージェントの人気の秘密はそのにじみ出る高貴さとともに颯爽とした気っぷの良い演奏スタイルなんでしょうか。それでいて細部も実に綿密に計算されていて、噛めば噛むほど味が出る、というのでしょうか。何も変わったことはしていないのですが。
そうそう、ここではあまーいビオラ独奏も聴きものです。まさかあの神様ターティスを起用した、なんてことないですよね。調べてみたら当時69歳。やっぱそれはないか。でもそれくらい上手。びよりすととしてはここのソロだけでも一聴の価値あり、です。
ちなみにここで後年(1966年)のBBCとの録音が聴けます(未聴)。
https://www.youtube.com/watch?v=NuoEHVFrq8k