アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

「エニグマ変奏曲を聴く」 その21 デービッド(ダビッド)・ジンマン指揮ボルティモア交響楽団

 
イメージ 1

1989年録音。
 陽気な長距離トラックの運ちゃんみたいな風貌のアメリカ人のおっちゃんとあんまり聞かない名前の地方オーケストラという組み合わせは、この曲をいろいろ聴いてきた人でなければ食指が動かないかもしれません。
 いや~衝撃的。掘り出し物でした。ブラインドで聴いたらまずイギリスのオケと思うでしょう。くぐもったような弦の響きで、時折日の光が差し込むような輝きを見せる。よっぽど練習したんでしょうね。演奏も抑制が利いたというか、内省的というか、最後まで羽目を外さず落ち着いたもの。軽薄なアメオケという先入観が見事に覆されました。
 
 さて、これまでいろいろ聴き比べをしてきました。接してない演奏(ヘンリー・ウッド卿、ハミルトン・ハーティー、デル・マー、B・トムソン、グローブズ、デュトワハイティンク、C・デイビス、P・ヤルヴィなどなど・・・。カラヤンはないのかな?)はまだまだ数多くあるし、今後も名演が次々に生まれるのだろうけれど、これだけ幅広い解釈が存在するということは、この曲の持っている深遠さと単なる〝イギリス音楽〟を超えた普遍性を示している現れではないでしょうか。最後にこの演奏を取り上げたのは、なんでも食わず嫌いしないで聴いてみましょ、というメッセージのつもりでした。

 名トランペッターさん、コンマスさん、一流シェフさん、カリスマ農家さん、世界をマタにかける協力隊OVはじめ数人の斯界の名士のみなさん(笑)、長々とおつきあいありがとうございました。あ、番外編もあるのでお楽しみに。