アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

トウモロコシが変わります(?)

アンナプルナ農場では2004年以降、スイートコーンの組み替え遺伝子混入を防ぐ観点から市販(大半が米国産・種子消毒済み)のF1種を使うのをやめ、自然農法国際センター(長野県波田町)が開発した固定種「もちっとコーン」のみを栽培してきました。

 

そのきっかけとなったのが元名古屋大学助手の河田昌東さんの講演でした。米国から輸入された飼料用デントコーンの種に組み替え遺伝子が含まれていたーとの内容で、食用スイートコーンも危ない、と聞いたから。

それから15年。また河田先生の講演を聴く機会があり、先生に尋ねてみたところ現在は種子メーカーが厳格に管理しており、スイートコーンの種は国産メーカーのものは信用できる、とのことでした。

もちっとコーンは昔懐かしい「ハニーバンタム」から選抜、固定化した種で、今時の市販されているスイートコーンのようにひたすら軟らかくて甘い、というのとは違って実がしっかりして自然な甘さ。消費者の皆さんにも一定の支持を受けていました。ただ、市販品や慣行農家からのいただきものを食べると、わが家族からは評判が今ひとつだったのも事実で、これを機に久々に「普通の」スイートコーンを作ることにしました。

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ただ、写真を見てお分かりいただけるように毒々しい着色を施した種。農協で探してみましたが種子消毒をしていないとうもろこしは見つからず、本格導入については消費者のみなさんの反応を聞きながら考えようと思います。この品種は一発目の今回限りで、次回からはいつもの「もちっとコーン」に切り替える予定です。

 

化学合成農薬を使わない農業を目指している以上、種子消毒の種を拒否するのが原則で、弊農場でも可能な限り自家採種を続けています。結球野菜や根菜類のようになかなか自家採種が難しいものは種袋をひっくり返して種子消毒のないものを選ぶようにしていて、現在消毒済みの種子を使っているのは全60種類ほどのうちキャベツとブロッコリー、一部の大根だけとなっています。このためあらたに消毒種子を使うことにはかなり複雑な心境であります。今後は、栽培結果がよければこのスイートコーンも種取りを続け、固定種に近づけていければ、と考えています。

世の中は大変な状況になってきましたが、われわれ百姓はただ黙々と畑をおこし、種をまき、作物を育てていくだけ。ハウスでトウモロコシをまいた後はネギ苗を起こして畑へ定植しましたよ。外で仕事できる当たり前の幸せをかみしめつつ。

 

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