アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

太陽熱処理

f:id:annapurnafarm:20210615192035j:plain持続可能な農業を目指す弊農場はポリマルチの類いを一切使いません。地温を上げ、生長を早める効果があるため、有機農家を含む多くの農家が使っていますが、ほとんどが一年で使い捨てとなり、秋には大量のごみが発生します。中には野焼きしたり畑にすき込んでしまうケースもあり、前者は大気汚染、後者は川へ流出して海洋汚染の原因にもなります。

そんなこともあって完全露地栽培(敷き藁など有機マルチは使いますが、こちらは地温を上げるというよりは抑草効果を期待)を続けているわけですが、春の栽培ではどうしても一般的な農家より出遅れてしまいます。直売所にブロッコリーやレタスなどが並び、仲間の有機農家もセット出荷を始めた―などと聞くと以前はちょっぴりうらやましい気もしましたが、最近ではすっかり諦めがつきました(笑)。セット宅配をお待ちの皆様には申し訳ありませんが、もう少し、月末あたりには再開できる見込みです。

前置きが長くなりました。そんな中、ハウスのビニールとともにポリフィルムを使うのが人参畑。本格的な種まきを前に、予定地を透明シートで覆いました。長年使ってきたのがボロボロになったので1万円ちょい出して100メートル分を新調。表面を密封することで太陽熱を蓄熱させ、80度近い温度まで上げることにより雑草の種を殺します。

初期生育が遅く、普通に播いたら一気に雑草に負けてしまう人参。年間で最も忙しくなる7月の手間を考えるとこれは欠かせない技術です。雑草の種と一緒に微生物を殺していることにもなり、少し心苦しい面はありますが、種と違って微生物は熱が伝わらない下層や外の通路部分へ逃げ出せるからいいかな、などと勝手に思っています。フィルムもハウスのビニール同様、大切に使えば何年ももちます。

このあと二週間ほど放置して、七月に入ってからフィルムをはがして種を播きます。そうそう、四月に播いた一回目の人参は現在間引き中で、ニシザワショッパース信大前店で人参葉が手に入りますよ。このかき揚げがうまいんだなあ。