アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

草をもって草を制す

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前回マルチを使わない、という話を書きましたが、嘘です(笑)。

 

有機農業は草との付き合い方が大切。就農以来、草との闘いに明け暮れてきたといっても過言ではありませんが、最近は「闘い」というより「良いお付き合い」を心がけるようになりました。

ところで、持続可能で循環するシステムを考えた場合、外部から持ち込む肥料の選定は大切な要素です。現在は近くの養鶏農家から鶏糞を買っていますが、その飼料は大半が海外から輸入された穀物。当然遺伝子組み換えのトウモロコシなんかも入ってきます。種子消毒と並んで有機農家には大きな悩みの種の一つなんです。

最近は自然農といって耕起も施肥もしないスタイルがはやっているようですが、それだとなかなか収量はあがらず、我々のように出荷する農家にはちょっと厳しそう。そんな中で、緑肥と並んで循環型持続可能な技術の一つが草マルチです。

果菜類を中心として、植えた苗の周辺を刈った草で覆うわけですが、自分の畑の土手草だけだとなかなか量がまかなえないもの。そんな時に助かるのがこの時期に行われる地区の一斉草刈りです。道路沿いや空き地などの雑草を地区総出で刈るもので、ちなみにコロナ禍でなかなか近所づきあいもできなくなった今は貴重なおしゃべりの場となっています。

で、以前はその草を利用していた酪農家も何年か前に廃業してしまい、現在はただ放置してあるのでこれを利用しない手はありません。もっと以前、草を大切に利用していたころは村内で刈草の入札までしたという話を聞きましたが、今は昔。刈り捨ててある草は風で飛んで道路を汚したりもするので、片付けると感謝されることも。いまはヒマを見つけてはせっせと畑に運んでトマトやキュウリなどの果菜類や長いもにたっぷり草マルチをしています。