アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

ジャガイモの秋植え

普通は4月に植え付けて6月下旬から収穫するジャガイモ。今年は全面的に自家採種を採用したところ、収量が極端に少なくなってしまった。

そこで最近ここいらでもはやりの秋植えに挑戦することに。実はそろそろ植え時は終わりのようで、グリーンファームに行ってみたら写真のどでかサイズの「でじま」が残りわずかだった。3個で400円という超高価だったが涙を呑んで4キロ分購入した。

秋植えの場合は芋を切ると腐るのでそのまま植えるのが普通だそうだが、もとよりビンボー性のワタクシとしては受け入れられない。そこで半分はそのまま、半分は春植え同様に切って切り口に木灰をまぶして植えてみた。なんせ切るともとの5倍以上は苗を育てられるからね。

さて雨が降らずカラカラ天気で灼熱の畑。腐らずに発芽し、そして冬の訪れ前に収穫できるか。実験開始です!

 

 

黒澤製麺所訪問

弊農場で長いことお世話になっている栃木県の「黒澤製麺所」さん

黒澤製麺所 | サシバの里商店街

に思い立って出かけてきました。有機栽培の小麦やそばだけを扱い、小ロット(30キロから)でも乾麺に加工してくれる、われわれ零細(じゃなくても)有機農家のつよーい味方。もうお付き合いは20年近くになるはずで、一度お会いしたいなあとずっと思い続けていた夢が叶いました。過去にネズミの糞混じりの小麦を送ってしまったことがあり、大変なお手間を取らせてしまったお詫びもできました。その節はすみませんでした!

 

岡谷から新和田トンネルを抜けて東信に入り、新しくできた中部縦貫道から上信越道と関越道を経て宇都宮まで高速をひた走り、下道に降りた後はだだっ広い人気のない平野を抜けて山の中の一軒家まで約300キロ、時間にして6時間余り。クーラーのない軽トラは暑かった! 22歳、20万キロ超えになるうちのケットラ、まさかこの年で100キロ超えで長時間ぶっ飛ばされるとは思っても居なかっただろうに、ご苦労様でした。

というわけでやっとたどり着いた製麺所はよくある林間学校で使われる廃校になった小学校校舎、といったおもむき。私とほぼ同世代、同時期に脱サラして今の仕事を始めたという共通点もあって、折につけいただく製麺所のお便りを読みながら想像していた通りの笑顔がステキなご夫婦が迎えてくださいました。

左が代表の黒澤真治さん。家族構成もお子さんがうちより一人多いほかは同じような感じ。

 

 

2台ある製粉機はがんがんと仕事中でした。手前のは最近導入した新しい機械。前のが壊れたと聞いた時は我々も心配しましたが補助金がついてなんとか更新できた由。よかったよかった。

 

うどんをこねたのを延ばす圧延機(でいいのかな?)

 

太麺と細麺の2種類に分けて切ったのをこちらでひたすら風乾させて完成。

今年取れた小麦を80kgほど持ち込み、太麺と細麺それぞれ注文してきました。一ヶ月ほどしたら「くろうどん」になって戻ってくるということなので乞うご期待!というかワタクシが楽しみだ(笑)。

 

私が訪れた時もちょうど埼玉県の有機農家がうどんを取りに来られていて、全国の有機農家から頼られている、というのを実感しました。夫婦お二人だけで経営し、お子さんたちは後を継ぐ気はなさそう、ということなのでまだまだ頑張っていただかないと。興味のある若者がいれば後を託してもいい、ともおっしゃっていたのでそのことを書き添えておきます。あと歯車など機械をメンテする方が高齢化していて、それも心配の種だとか。

顔が見える関係、とよくいうけどほんとにそう。頑張って行ってきて良かった。意外な共通の知り合いがいたりで世間の狭さも実感しつつ、ご夫婦から大きなパワーをもらって帰ってきました。今後ともよろしくお願いします!

 

麦秋

梅雨の晴れ間の一大イベント、麦刈りが終わりました。

毎年この時期は天気予報とにらめっこしつつ、いざ始めると機械トラブルが発生して延び延びになったりという繰り返しなんですが今年もまさにそれ。ちなみに上の写真でポリキャップをかぶっているのはメロン。ほかにしまうりやカボチャも麦の畝間に植えているので、麦畑はこれからカボチャなど畑に変身していきます。

 

で、一週間前に刈り始めたところ案の定機械が不調。修理屋に持ち込み、直ったと思ったら今度は別の箇所で不調が見つかり、今度は大修理になるというので代替機を貸してくれたんだけどそれがまた不調で・・・と一日に機械屋と3往復する羽目に。

 

それでも肝心の小麦は風の被害もほとんどなく、雀に食われた程度で久々の豊作でした。バインダで刈った後はすぐにハーベスタにかけて脱穀。それをハウスで乾燥させて(いまここ)唐箕をかけたら完成です。100kg以上は取れたので半分は乾麺、残りは注文に応じて小麦粉に製粉する予定です。

 

品種は中力の「シラネ」でキロ700円。全粒粉が欲しい方には応分のふすまを無料で付けるのでお好きな配合を楽しんでください。乾麺はこれから栃木県の業者に出す予定で、こちらは250g入り350円ほどになる見込みです。

 


ハーベスター脱穀機)に乗せた麦の束。夕日に輝いてはっと息を呑む美しさでした。

これが終わるとほっと一息。あとは田んぼや畑の草取りが続き、梅雨明けを待ちます。

 

ちなみに現在のアンナプルナセットは大根、間引き人参、スティックセニョール、チマサンチュ、ニラ、春菊、コールラビ、白菜、キャベツ、スナップエンドウ、おかのり、おかひじき、新玉葱、新にんにく、そして庭のブルーベリーが入るかどうか、というランナップです。まだ余裕がありますので小麦粉やうどんとともにご注文お待ちしていますよ!

 

高野秀行著「語学の天才まで一億光年」

今年は珍しく正しい梅雨入りというかんじ。雨続きで田んぼや草刈り以外なかなか仕事ができず、こんな読書感想文を書いてみました。

 

アジアに広がる納豆文化に関する本と出会ってからここ数年はまっている高野秀行さんの新著。図書館で予約して借り、一気に読んだ。学生時代からアフリカや東南アジア、南米など世界各地をめぐり、25を超える言語を操るに至るその特殊な能力を自己分析した一冊。いや、面白かった。

思いつくままに、まず腑に落ちたのが言語を話すときは「ノリ」が大切、ということ。タイ語は口を大きく開けて高めの音程で発音し、態度はなるべくなよなよと。隣のビルマ語になると音程を下げ、堂々とした態度で明るくしゃべるーといった具合。日本語がぼそぼそと相手の目を見ないで話すといいというのは笑った。外国人の日本語話者に違和感を抱くかどうかは発音云々よりこの態度によるのかもしれない。

多様な言語の遍歴を経たいま、「言語は驚くほど違って、驚くほどそれぞれ完成した美しさを持っている」と総括し、「人間はみんな同じなんだな」との結論に至る。

 彼が貪欲に語学能力を向上させていたのは20代のころ。思えば私もそのころ、学校で学んだ英語が全く話せなかったのにネパールで暮らしているうちにネパール語や英語の日常会話は問題なく話せるようになった。さらに民族語であるグルン語を現地で学んで辞書のようなものを作ったり、帰国後勢いでボルネオの一人旅に出かけた時もなんとなくマレー語を操れるようになってルマパンジャン(伝統的な長屋風の建物)に浸りきったりしていた。高野さんとほぼ同世代の私も20代前半でいくつか言語をクリアし、その後の人生いかんによっては彼ほどではなくともそこそこの語学能力に達していたかも、とちょっと思ったりする。残念ながらその後は日本に居着いてしまい、ネパール語や英語はもとより最近は母語の関西弁すら怪しくなり、信州弁とちゃんぽんを話すヘンな百姓になってしまったが。

初(?)出荷

来週からのスタートを前に独り暮らしをする我が家の娘に野菜詰め合わせを送りました。内容はほぼアンナプルナセットと同じなのでラインナップをご紹介します。

右端から時計回りに間引き大根、コールラビラディッシュ、ニラ、おかひじき、新玉葱、チマサンチュ、おかのり、ミニ白菜、スナップエンドウ、玉レタス。このほかサニーレタスとスティックセニョール、春菊が入り、にんにくを入れ忘れました(笑)。セットにはこのほか昨年産のトマトピューレも入るかな。

アンナプルナセット出荷再開のお知らせ

すっかりブログ更新を怠っていました。変わらずやっておりますのでご安心ください。

6月に入って田植えも終わり、怒濤の季節を迎えています。例年通りアンナプルナセットの出荷を再開します。19日(月)からスタートしますが、まだ余裕がありますので初めての方もご注文をお待ちしています。

 

諸物価高騰の折、クロネコヤマトの運賃も再度値上げとなりました。ほぼ全体に100円アップで、セットの100サイズ(10kg)の場合関東だとこれまで1100円だったのが1200円となります。アンナプルナセットの送料込みの価格(常温3000円)もこれに伴い値上げしたいところですが、もう少し現状維持で頑張りたいと思います。

 

写真は昨日から始めた田んぼの除草機押し。

 

ほうれん草始めました

すっかり春の様相になってきましたね~

昨年12月に播いたハウスのほうれん草が収穫期を迎えています。

現在こんな感じ。なずなやハコベと競争中です。

 

今週からにしざわ信大前店の生産者コーナーで並べたところ連日の完売でうれしい限り。

先日見た映画でジュリーがほうれん草の根っこを大切に使っていたのを思い出して、ちょっと長めに切ってみました。冬を越してぎゅっと甘みが凝縮されます。これがビーツの仲間というのもうなづけるところ。

ところで、無農薬栽培のためどうしてもこの時期のハウスはアブラムシが出ます。にしざわはコーナーが狭くて一度に並べる数が限られることもあり、早めに売り切りたいと思っています。セットやお米などをご注文の際に同梱もしています。この時期ならではの味、多くの方に味わって欲しいです。お早めにどうぞ!