アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

エニグマ変奏曲を聴く~④バルビローリ指揮フィルハーモニア管

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 EMIエルガー全集に収録の、 バルビローリ指揮フィルハーモニア管 1963年録音

 霧深いロンドンの朝(行ったことないけれど)、ゆっくりとテーマが浮かび上がってくるような冒頭から、気品がにじむ。さらに第5曲R.P.Aや第9曲ニムロッド、そして終曲などでバイオリンやビオラがsulGやsulC、あるいは開放弦でつくりだす独特の渋い響きは、これぞイギリス音楽の王道、と思わせてくれる。
 チャイコフスキードボルザークの演奏で暴れん坊ぶりを示すサー・ジョンだが、さすがにこの曲では自国の作曲家への敬意を見せる。美しいニムロッドでも極度に盛り上げることはせず、節度ある歌を聞かせてくれる。各変奏の性格付けも見事で、通底する「霧の中」から大伽藍のような終曲に到達するやシベリウスの第二交響曲を思わせるようなカタルシスを築く、一気呵成ともいえる演奏。モントゥー盤などと並ぶ、この曲の模範的なパフォーマンスだろう。