就農したてのころ、食べるものがなくて、「山菜料理の本」などを買い込んでその辺の草を手当たり次第食べていた。アカザや
スベリヒユ、
コンフリー、
よもぎ。そうこうしていたころ、畑に播いて初めて収穫できたのが大根の間引き菜だった。さっと茹でて塩もみして、炊きたてご飯に混ぜ込んだ菜飯は、それは涙がでそうにうまかった。これから百姓としてやっていくんだと実感した瞬間でもあった。
あれから7年がたった。毎年、この時期になると菜飯が食卓にのぼる。最初はその辺で買ったまずい米だったが、3年目からは農場産の
コシヒカリに。土も肥え、ずっとうまくなった菜飯だが、初心を忘れず、しみじみと味わおう。