アンナプルナ農場の気まま日記

信州伊那谷で有機農業に取り組んで20年。農場の「いま」をお届けします。

電磁波問題

先日、携帯電話の基地局から出る高周波電磁波の影響に関する講演会があった。我が家の設計士でもあるTさん(本人も健康被害を受けている)らが呼びかけ、沖縄の医師、新城哲治さんの話を聞いた。

那覇市の自宅マンションの屋上に携帯基地局があったのを知らずに、アンテナ直下の最上階に住みはじめた新城さん一家。子どもの鼻血が相次ぎ、奥さんは意識がもうろうとして自殺直前まで落ち込んだこともあい、自宅を離れると症状が軽快するため不思議に思っていたところ、屋上のアンテナに気づいた。いよいよ生活に支障が出たため、一家はやむを得ず転居。その後、マンションの住民に現状を報告したところ、「私もそうだった」と同様の訴えが相次いだことから、全住民への聞き取り調査をおこなったうえ、携帯会社に早期撤去を求めた。

結局、設備は撤去されたそうなのだが、撤去後にふたたび行った調査結果がすごいのだ。倦怠感や耳鳴り、不眠など170もの症例が、撤去後には23に減少したとのこと。電磁波問題はとかく「非科学的」「因果関係が証明されていない」などとあしらわれがちだけど、これだけでも立派なデータだ。

新城さん夫妻がこの問題に取り組む中で「すべての公害は症状が優先する」と断言したあるお医者さんの言葉に出会った。水俣病も、被害が出始めたころは無視やいわれのない中傷などがあった。電磁波被害は目に見えない、人の痛みが分からないなどの理由で難しいけれど、明らかにあると確信した。

この件で伊那の記者クラブに投げ込みをしたけれど、取材をしたマスコミはゼロ。興味くらいもってくれればいいのにと思う。新聞は広告収入で成り立っているから、大得意の携帯会社の悪口は書けないのだと、皆さん言う。かつてそこに身を置いた農場主としては、そんなことより、上司やら「○階すじ」を気にして書けない記者本人の自己規制が問題だと思う。

もしこれを読んでいるマスコミ関係の方がいたら、「広告の関係で書けないんでしょ」という中傷に勇気をもって応えて欲しい。電磁波問題は、ジャーナリストとしてライフワークにする意味のある問題だと思う。